天の川

飼い犬が死んだのは何年前だったか。

私がまだフリーターで、今は閉店してしまったペットショップで働いていたときだ。

 

犬が死んでから、ずっと考えてしまうことがある。

「あのこはうちに来て幸せだったのだろうか。」

 

別な飼い主のところで飼われていれば長生きしたのでは?

 

もっと裕福な家で飼われていればこの年齢で死なずに済んだのでは?

……などと、今更どうしようもないことばかり考えてしまう。

 

なぜ、こんな話をし始めたかというと、同じような気持ちを家具にも抱いてしまったからだ。

引越した翌月か翌々月くらいに少しばかり洒落たハンガーラックを買ったのだが、整理整頓が苦手なばかりにちょっとした物置場になっている。

今、片付けをしていて乱雑に物が置かれたハンガーラックを見て、

(うちに来たばっかりにこんなことになってしまって……お洒落な人の家で買われていればこんなことには……)

なんて考えていた。

 

物に対して、生き物に接するような気持ちになっていて自分で驚いた。

この日記を書いていて、そういえば今月は飼い犬の命日だと気付いた。最低な飼い主である。

 

もう死んでから5年近く経つ。

犬は私たちを幸せにしてくれたけど、犬はどうだったのだろうか。
憎んでいたのだろうか。憎まれていただろうな。特に死に際は。

 

ドッグカフェキャットカフェの生体は客に癒しを与えるが、生体への癒しはないのだろうか。
そんなことを考えたりもする。

 

今年は花を手向けに飼い犬のお墓へ行こう。