四季の香りを身に纏おう。
SNSを見ていると、皆さんそれぞれこだわりぬいた香水を付けているように思う。 なかなか訊く機会がないけれど、どういった経緯でその香水と出会ったのか、付け始めたのかっていうのは気になるな。 よかったら教えて欲しい。 最近Twitterでフォロワーが、喫煙者が今吸ってるタバコの銘柄を吸い始めた経緯を知りたがっていたが、それに通じるものがある。 そう、今回は香水の話を少し。
僕が香水に興味を持ち始めたのはそう昔のことではない。わりと最近のことだ。 きっかけらしいきっかけは特にないが、香水を付けている人はなんとなく大人っぽい感じがして、漠然と憧れを抱いていた。 いざ自分が香水を選ぶとなると種類が豊富すぎて何を付ければいいのか迷った。 また、購入してから実際に身に纏ってみて自分に合わなかった、やっぱり香りが気に入らなかったという事態は避けたいと考えていた。 そうなると、店まで足を運び、試香(っていうんですかね)してから買うのが当然の流れなんだろうけれど、実店舗で香水を買うことをためらっていた。 僕は貧相な身なりをしているので、「香水に不釣り合いな男が香水を購入する姿」を店員やその他の客に見られたくない……という羞恥心が働くのだ。 人目を忍んでサンプル品を嗅いでみても、なかなかしっくりくる自分好みの香水を探し当てることが出来なかった。
そこで、そもそも自分が付けたい香り、好きな香りはなんだろうかと改めて自問自答すると、浮かんできた香りは金木犀の香りだった。 (でも、金木犀の匂いのする香水なんてあンのかよ……)とハナから諦め気味で検索してみると、それが意外にあるのである。 その中でも特に気になったメーカーがひとつある。 香水を作るメーカー・ブランドというのは海外のものが多く、どこを見てもやたらとカタカナ文字ばかり並んでいるが、ひとつだけ漢字を用いたメーカーがあった。 それが『武蔵野ワークス』との出会いである。
武蔵野ワークスとは
武蔵野ワークスは1996年に創業した日本の香水メーカーで、『フローラル・フォーシーズンズ(Floral 4 Seasons)』という和の花をテーマにした香水シリーズやスキンケア用品を作っている。 実店舗を構えておらず、インターネット通販専門のためか、フルボトルという30mlの香水とは別に、 ミニボトルという1ml入の香水も販売している。 商品ページを覗くと、
ミニボトル(ミニ)とは:
●香水のスメリングはムエット(試香紙、匂い紙)が普通ですが、その人のお肌の香り(ボディフレグランス・体臭)との相性や、香り立ちチェックは、実際のご使用がオススメ。 ●しかも、ミニは持ち歩きに便利。 ●本製品はミニボトル(1ml、55x10mm=女性の小指大)に小分けしたものです。
と書かれており、このミニボトルなら人目を気にせず匂いをかぐことが出来るし、 手頃な価格(税込183円)で実際に身に纏ってみて相性をみることが出来るし、願ったり叶ったりな商品だと感じたので、当時販売されていた金木犀3種類(2015以外の3種)のミニボトルセットを購入した。
武蔵野ワークスの金木犀シリーズ
現在、武蔵野ワークスの金木犀シリーズは4種類ある。
- 金木犀
- 金木犀2011
- 金木犀2012
- 金木犀2015
詳細は下記ページを御覧いただきたい。
僕はすべてのミニボトルは持っているので参考程度に感想を。 『金木犀』は金木犀の香りに近い香水だと思う。 『金木犀2011』も金木犀の香りに近い。正直『金木犀』との差がよく分からない。違いの分からない男なので。 ただ、『金木犀2012』は金木犀シリーズの中では異色である。
“リアルな金木犀”とは違う。ブロンドの20代半〜30代前半の高身長のフランス人男性が付けてそうな香りだ(?) 武蔵野ワークスが猛プッシュしている『金木犀2015』は、『金木犀』・『金木犀2011』より軽い感じがする。 金木犀の嫌味な部分を抜いて、フワッと甘い香りがする。フルーティーっていうの?瑞々しい。
『金木犀2015』はキューブボトル(4ml)を持っているので、金木犀の時期となった今、久しぶりに身に纏ったのだけど、香りが飛ぶのが早い気がする。
あと、香水を付け慣れてない僕の付け方が悪いのもあるんだろうけど、付けてるのか、香っているのか不安になる。こんなもんなのかね、香水って。
もし金木犀の香りを知らないけどどんな香りか知りたいって人や、金木犀の香水が欲しいなって方は購入を検討してみてはいかがだろうか。 また、今現在フルボトルを購入すると1回の注文(※1個につきではない)で、『金木犀2015』の練り香水が貰える。 金木犀シリーズは『金木犀2015』と『金木犀2012』しかミニボトルが出てないようなので、まずは2015から試してみては?
武蔵野ワークスの特徴
さて、ここからは武蔵野ワークスが取り扱う金木犀の香り以外の香水について。 武蔵野ワークスでは“和の花をテーマにした香水”を扱っていると書いたけど、金木犀の他にはどんな香りがあるか。 全種類調べたわけではないので、正確ではないかもしれないが、ざっと見た感じバラや梅の香りは多いと思う。
バラの名が付く商品も
とあるし、僕が知らないだけで他の香水にもバラの香りが使われているかもしれない。
梅の香りの商品は
となっていて、こちらもバラの商品と同じように他の香水にも梅の香がするものがあるかもしれない。
ここまで、登場した香水の名前はどれも実在する花の名前ばかりだけど、他にも“テーマに沿った香水”を作ったりもしている。 テーマに沿った香水の例をいくつか挙げてみよう。
etc... ひとつひとつ紹介を。
樹海
気品に満ちたシトラスとウッディの香り。
富士山コメツガ針葉樹林の香りがテーマ。
2016年版のパンフレットからの引用である。
これは後述する『螢』のフルボトルを購入したときにグリーティングでミニボトルがついてきた。 さっぱりとしたとても爽やかな香りで、『デキる男の香り』といった感じだった。 公式にも『デキる男の香り』って書けばいいのに(?) これは今後フルボトルも欲しいと思える香りだった。 『樹海』という商品名からは想像出来ないとてもとても良い香りでもあった。
螢
今回はこの香水(『螢』)のことが書きたくてこのブログを更新したようなもんだ。 『螢』と聞くとどんな香りを想像するだろう。 商品ページにはこう書かれている。
シトラスの香りにアップルの甘い香り。 暗闇に浮かぶホタルの輝きをイメージして。
この香水は現在はミニボトルは販売されていないが、以前ミニボトルが販売されていた際に、名前のインパクト(花の名前の香水の中に虫が混じっている驚き)と爽やかそうなグリーンアップルや檸檬といった香りが気になり購入したことがある。 ミニボトルでこの香水を付けてみたときに、シトラスの酸っぱい香りからグリーンアップルの甘い香りが変化していくさまをこの鼻で感じた。ほのかに香るグリーンアップルが程よく甘く、心地よかった。 もう一本ミニボトルを買って気に入ったらフルボトルを購入しようなんて考えていたらいつの間にかミニボトルが販売終了されていた。 (いつかミニボトル復活しないかな……)なんて思っていたが、考えが甘かった。
先日発表された廃盤リストを確認していたら、なんと!!!!
この『螢』が含まれているではないか!!!!
30mlのフルボトルが在庫限りで販売終了!!!!!
なんてこったい!!!!!
そんなわけで急いでフルボトルを取り寄せた。
この『螢』がフルボトルデビューになったわけだが、予想していたより香水瓶が小さい。 商品ページのフルボトルの説明には
●女性の手のひらにちょうどなじむフォルムと大きさ(ボトル高80 x 幅48 x 奥25mm)
と書かれていたが、実際に持ってみると予想していたよりはるかに小さく、女性の手のひらがこんなに華奢だとは思っていなかった。
いざ『螢』を身に纏って1日過ごしてみると、ミニボトルを使ったときと香り方が違うことに気付いた。 一応商品ページにも下記の注意書きはあったのだが、これは意外だった。
※フルボトルとミニボトルは同じ製品を充填したものですが、付け方の違いで違った香りに感じられる場合があります
香り方がミニボトルのときと違い、ずっとシトラスが香っていて、気に入っていたグリーンアップルの香りがほとんど感じられなかった。 どうしたもんかと思ったが、ロールタイプのアトマイザーに入れ替えれば好みの香りになるかもしれない。今度試してみよう。
以前は確か、廃盤になった商品も受注生産という形態があったように思ったのだが、改めて調べてみるとどうやらなくなっているらしい。 残念ではあるが最初で最後の『螢』になりそうだ。大事に使います。
また、廃盤になるこの商品を取り寄せたためか、同じシトラス系でなおかつ人気のある『樹海』をグリーティングとして入れてくださった武蔵野ワークスの心遣いに感動した。
摩天楼
初めて香りを嗅いだときになんだこれはと思った香り。
ローズ&パチュリ、都会的でスタイリッシュな香り。 大人のテイスト。
とても渋い香りがして好き嫌いの好みが分かれそうだと思った。 例えるなら 「クローゼットから取り出した若い頃の父のスーツの香り」って感じだ。 また、この香りは“ゲイっぽい香り”と言われることがある香りらしい。 野性味溢れる香り。僕はまあまあ好き。
サイレンス
『サイレンス(静寂)』Silence・・・ 森深い山寺。森林の中でひっそりと佇む古い山寺を訪れたときの感動がテーマです。趣のある建物に一歩踏み入ると心が一瞬で変化しました。ひんやりとした空気、音のない世界、微かに満たされた木の香り。そして、そこに漂う静寂感。サイレンス。新鮮なインスピレーションと感動が訪れる人の心を洗います。
商品ページからの引用。 『森深い山寺。森林の中でひっそりと佇む古い山寺を訪れたときの感動がテーマです。』 ニッチ。いや、ニッチというか、テーマがかなり明確。 実際の香りもそんな感じだからすごい。 山奥の霧の立ち込める寺院のだだっ広い仏間で瞑想してるときの香り(?) また、家具屋っぽい香りでもある。高級な家具屋の香り。ヒノキの香りだ。 ウッディノートの落ち着いた香りが好きな人にはおすすめ。
そう、ウッディノートと言えば、今年のサンタの贈り物もウッディノートだ。
贈り物シリーズ
武蔵野ワークスには『※※の贈り物』というシリーズが出ている。
- ローズの贈り物
- 5月の贈り物
- サンタの贈り物
の3種類だ。
ローズの贈り物
5月と12月のみ販売されるバラの香水。 かなりのバラ推し。バラの香りって相当人気な香りなんだろうね。
この商品は、ブルガリアンローズオイルを限界まで使用した商品で、毎年同じ作り方をしているけど、収穫できた原料の違いから毎年微妙に香りの調整を行っているよ、というバラバラしいバラの香水。 バラの香水大好き!!って人に勧めたいところだけど、出回っているバラの香水より、クセが強いものらしいので、注意が必要。
5月の贈り物
母の日の贈り物を想定して作られた季節限定の香水。 上記の『ローズの贈り物』だとクセが強く好みが分かれそうだからと2010年に新たに作られたようだ。 こちらは毎年違うテーマの香りを作っている。
- 2010年は何の香りか把握出来なかった。
- 2011年はすずらん(ミュゲ)
- 2012年は桜の吉野山(?)
- 2013年は桃
- 2014年は好評だった桃を再度
- 2015年は柚子
- 2016年は4月に新作の香水を発売したため、休止。
とバラエティに富んだ香水を作っている。 すずらんは現行のすずらんとは処方が違うのだろうか。柚子も気になるな。
サンタの贈り物
『サンタの贈り物』の歴史は古く、2005年ごろから存在しているようだ。 こちらも『5月の贈り物』同様、毎年違う香りを作成している。 以下商品ページから香りの説明を引用。
武蔵野ワークスが、クリスマスシーズンに限定リリースしている香水です。毎年、同じネーミングで違うテーマの香りをリリース。「サンタの贈り物」は、その年だけの特別な香り、遊び心とその一年の思い出を詰め込んで皆様にお届けします。
しかし、検索をかけてみてもリンク切れが多かったので、分かる範囲でまとめてみた。
ヘルシンキ多いな。 そう、今年も大人気のヘルシンキ空港である。 ベースノートにムスクやシダーウッドが使われているウッディな香水である。 (……僕はムスクやシダーウッドがどんな香りか分からないのだけど……。) ちなみに、トップ、ミドルは下記のような香り。
武蔵野ワークスの出している香水だと、スノーミントや樹海が近縁(?)にあたるのだろうか。 スノーミントほど、涼やかでスッとした摘みたてのようなミントの香りではなかったと思う。 去年ミニボトルを購入して、フルボトルの購入を検討していたら売り切れてしまったので今年はフルボトルを購入しようと考えている。
まとめ
ここまで、武蔵野ワークスの香水の一部を紹介したが興味の湧いた香水はあっただろうか。 ここに載せてる以外にも様々な花の香りの香水があるので、気になる方は調べてみると好きな花の香りの香水があるかもしれない。
ミニボトルを複数本所持している、僕のあくまで個人的な感想だけれど、フローラルフォーシーズンズは「上品なおばさんの香り」がする。 もちろん、年寄りくせぇニオイだとか加齢臭のことを言ってるのではない。 例えるなら、『白髪のスラッとした優しそうな淑女から香ってくる(香ってほしい)匂い』である。
(ちなみに僕の想像上の彼女はメガネをかけて紫のカーディガンを羽織っている。)
女性向けの香りが多いけど、海外の香水と比べると優しいフワッとした香りが多いのでキツい香りが苦手って方にもおすすめ出来る香水だと思う。 みんなも(香害に気を付けて)四季の香りを身に纏おう!